書評 book review 「アメリカ」 2007 5 13

書 名 「今のアメリカ」がわかる本
著 者 渡部 恒雄
出版社 三笠書房(知的生きかた文庫)

 この本は、ここ5、6年のアメリカの「現代史」と
「現在進行形の今」をわかりやすく一冊の本にまとめたものです。
 思うに、軍人というものは、
戦争に対して、慎重だと思います。
 なぜならば、戦争で死ぬのは、自分の同僚だったり、
自分の部下であるからです。
それに、軍人は、戦場の「悲惨さ」をよく知っているからです。
 戦争好きなのは、たいてい政治家です。
なぜならば、政治家は戦場に行くことはないし、
たまに行くことはあっても、戦場を観光しに行くだけです。
 この本から、スコウクロフト将軍の言葉を紹介します。
「サダム・フセインが大量破壊兵器をテロリストに手渡すということは考えにくい。
それは、テロリストとフセインとの間に共通のゴールがないからだ。
 もし、フセインがテロリストに大量破壊兵器を渡し、
それがアメリカに対して使われれば、
アメリカは、返信住所がないテロリストネットワークではなく、
間違いなくイラクを攻撃することになる。」

時計の針 clock hand 2004 7 11
 サダム・フセイン政権とアルカイダの間には、
正式な協力関係がなかったというニュースがありますが、
これは、イスラム社会を知っていれば、当然のことです。
 サダム・フセインは、敬虔なイスラム教徒とは言えなかったのです。
サダム・フセインは、かなり世俗化していたのです。
世俗化の代表例が、サダム・フセインだったとも言えます。
 しかし、世俗化の代表例だったサダム・フセインが、
戦争に負けたことで、時計の針が、逆戻りするかもしれません。
 なぜならば、敬虔なイスラム教徒は、こう考えるかもしれません。
「サダム・フセインは、世俗化したから、戦争に負けたのだ。
だから、イスラム教徒は、イスラム教の原点に戻るべきだ。」
こうして、イスラム教原理勢力の力が強くなっていくと思います。

歴史は繰返す History repeats itself. 2005 2 2
 今は昔、ある本(2001年12月31日出版)には、
このようなことが書かれていました。
 「イラク人は、長く続く困窮生活に、うんざりしているが、
それでも、サダム・フセインに対し、文句も言わないし、非難もしない。
 なぜならば、強引な指導者が倒れたら、
イラクは内戦状態になると、誰でも知っているからだ。」
 これは、イラクの「複雑な民族、複雑な宗教、複雑な部族」を考えれば、
やむを得ないことかもしれないと、本を読んだ時に思いました。
 さて、2005年の現代。
サダム・フセインに代わって、アメリカ軍がイラクを支配しています。
 おそらく、イラク人は、アメリカ軍の支配には、うんざりしているが、
それでも、アメリカ軍に対し、文句も言わないし、非難もしないかもしれない。
 なぜならば、強引な指導者(アメリカ軍)が撤退したら、
イラクは内戦状態になると、誰でも知っているからだ。
 なぜ、歴史は繰返すのか。
人間は、反省をしないと、同じ過ちを犯す。
その人間が歴史を作っているから、歴史は繰返す。

















































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